ゆきの子供達 第九章 家老の調査

次の日、家老は温泉に行きました。「女将さん、わしは若殿さまより、新しい茶道家のことを調べ尽くすようにと仰せを賜ってきた。彼女について知っていることを全部教えてください」と言いました。

女将は「そうですね。ゆきは数日前この温泉に来て、弟の手紙を渡しました。二人は道で出会って、ゆきは弟に茶の湯をしました。ゆきは小さな村でお祖母さんに育てられたと言いました。親はゆきが生まれてから間もなく二人とも亡くなったと言いました。家系図の本を持ってきました」と言って、おばあさんの名前を教えて、手紙を見せました。

「そうか。十五年ぐらい前、その名は名高かったようじゃ。その家系図を見てみたい」と家老は言いました。

女将は家老をゆきのところまで導いて「ゆきちゃん!若殿の家老さまがあなたの家系図を見てみたいと仰っています」と言いました。

それからゆきは家老に家系図を見せました。家老は家系図をつぶさに検めました。「この紋はよく覚えておる。本当にあなたの家紋かの」と言いました。

ゆきは「それは分かりません。この本にそう記されているだけですから」と答えて、小さな村の生活と旅路のことを語りました。

それから家老は温泉から去り、使者を小さな村に派遣しました。

毎晩ゆきは城に行って、若殿に茶の湯を振舞いました。ある夕べ、若殿は狐の尻尾の毛で作られた腕飾りに気づきました。「ゆき殿、どうしてそんな腕飾りを手首に巻いているのか」と聞きました。

「この腕飾りですか。実は、幸運のお守りなのです。これは道で出会った狐に頂いた尻尾の毛で作られています」とゆきは答えました。それからゆきは若殿に旅路のことを語りました。

最初へ 前へ 次へ 最後へ  目次へ  ホームへ

Copyright © 2006-9, Richard VanHouten RSS Feed Valid XHTML 1.0 Strict Valid CSS!