ゆきの物語 第二十五章 忍者の思い付き

その夜、忍者の長は黒装束に身に包み、城から抜け出し、殿様の野営地に忍び込みました。番兵の目を注意深く掻い潜りながら、忍者は殿様の本陣にゆっくり近づいてゆきました。しばらくした後、忍者は抜け出した時と同じように、注意深く音を立てずに城に戻り、大名の元へ報告に行きました。

「事は済んだのか?」と大名は聞きました。

忍者は大名に近づき、「始末致しました」と答えました。

大名が「よかろう…」と言いかけたその時、忍者は音もなく刀を抜き、次の瞬間には大名の首を切り落としていました。それから忍者は城の門を開け、兵を迎え入れて、殿様たちと落ち合いました。

「お約束の通り、大名は始末いたしました」と忍者は言いました。

「約束の報酬だ、受け取れ。しかし、主人を殺すのに手を貸すような者を我が領内にとどまらせるわけにはいかない。早々に立ち去るのだ。さもなくばお前の命は保障できぬ」と殿様は言いました。

「承知いたしました。これほどの金子を頂きましたので、もはや宮仕えをする必要はございません。自分で道場でも構えてやっていこうと思っております」と忍者は答え、城から立ち去ろうとしました。

「そなた、待て」と若殿は言いました。「なぜ、我らに寝返ったのだ?」

忍者は、しばしとどまり、「忍びの身でございますから、侍のような栄誉はございませんが、十五年間も仕えて参りました。しかし、その間ずっと我が殿は私をあまり評価してくださいませんでした。今日、我が殿が、保身しか頭になく、家来の命を軽く考えておられるのを知り、ついに堪忍袋の緒が切れてしまいました。仮に私があなた方二人をこの場で殺したとしても、すぐに他国がまた我が殿の命を狙うでしょう」

「そうなるだろうな」と殿様は答えました。

「それが私の答えでございます」と忍者は答え、城から立ち去りました。

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