ゆきの物語 第六十三章 狐の土地へ

馬の姿をした狐が町を出ると、狐の速度は何倍も速くなりました。今は早足というより、駆け足でした。夜の闇に、馬の肌は青い眩に光で照り映えるゆうでした。

馬の足は雪の上で軽く踊っているようでした。新雪が深く積もったところでも、馬の蹄は雪に埋もれることはなく、浮いているようでした。

家老は冷たい風を感じることも、渦巻いている雪に触れることもありませんでした。しかも、馬がそんな速い速度で走っているにもかかわらず、波のない水の上を滑っているような気がしました。

地面に積もった雪と、周りで渦巻いている雪以外、何も見えませんでした。

いつまでそうしていたのか家老には分かりませんでしたが、ようやく狐は速度をゆるめました。林に入ったようでした。木が一つ一つ前に現れては、背後で消えました。

突然、空気は温かくなりました。風は止み、雪は小雨になりました。馬は足を止めました。夜の闇に一匹の狐がうっすらと見えました。「族長、命令の通り、人間用の住処を掘っておきました」

「よし。では家老どの、降りてください。この者が寝室にお連れいたします。私はうちへ戻ります。おやすみなさい」と狐の族長が言いました。家老が降りると、自分の姿に戻って、去りました。

待っていた狐が立ち上がりました。「家老さま、こちらへ」と言って、歩き始めました。

家老はその青い燐光をしている狐についていきました。「すみません、狐どの。お名前は?」と聞きました。

狐は「八狐と申します」と答えました。

「ハチコですか」と家老は聞きました。

「そうですよ。八つのハチ、狐のコです」と八狐は答えました。

二人が歩いていくと、突然、闇の奥から冷笑が聞こえました。「ほら、あれを見ろ!人間だ!自分の住処すら作れない」

八狐は声を上げました。「黙れ、間抜け!こちらは族長のお客だぞ!」と叫びました。それから家老に言いました。「ごめんなさい。人間が好きではない狐もいます」

「分かりました。狐が好きではない人間もいますから」と家老は答えました。

しばらくすると坂の先に着きました。その坂には人間の高さほどの入り口があり、そこから青い光が漏れていました。

家老は八狐に続いてその入り口に入りました。掘った土の匂いがしました。短い廊下の先には二畳の部屋がありました。その奥の寝台のそばには青く光っている玉がありました。寝台には布団がもう敷いてありました。

八狐は玉を示しました。「これを二回軽く叩くと、灯りが消えます。もう一度触れると、灯りがつきます」と言って、去ろうとしましたが、家老は彼を呼び止めました。「すみません。狐子さんはもう着きましたか」

「はい。狐子さまはもうお部屋で休んでいます。狐子さまのお連れもあちらで寝ています」

「あれ?一緒に寝ているのですか?」と家老はびっくりしたように言いました。

八狐は笑いました。「とんでもない!族長の住処には色々な寝室があるのです」と言って、去りました。

家老は着替えてから光の玉を叩いて、寝ました。

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