ゆきの物語 第六十八章 八狐との会話
翌日、家老が目覚めると、狐子が枕元に座っていました。彼女の側に置いてあった角盆から美味しそうな匂いがしました。
二人が食べたり喋ったりした後で、部屋を出ると、そこには八狐が待っていました。狐子は狐の姿に戻って立ち去り、家老は八狐を姫の家へ案内することになりました。
その歩、家老は八狐に尋ねました。「八狐どの、狐子様がお父様のことを気になさっているようです。あの方が私達をこちらに連れてきたせいで、族内の問題が山のように積もっているとのことです。どう思いますか」
「そうですか。多分、狐子様はあまりこちらにいらっしゃらないので、事態をよくご存じないかもしれません。私達はあまりにも問題に近いところにいます。狐子様の方がよくお分かりになっているかもしれません。しかしながら、族長様より強い狐はただの一匹しかおりません。もしその方と族長様とが力を合わせれば、たとえ一族全員が族長を倒そうとしても倒せないでしょう」と八狐は答えました。
「なるほど。その方が族長に挑んだら、どうなるでしょうか?」と家老は尋ねました。
八狐は数回尻尾を振りました。「そういうことがあるとは思えません。お姫様は権力を手に入れることに興味をお持ちでないようです」
家老は目を丸くしました。「お姫様ですと…?お姫様がそれほど強いのなら、どうして谷から追い出されたのですか」
「追い出されたわけではありません。ただ、お姫様は狐の社会に戻っても、そこにはもう住めないでしょう。他の狐のいじめのせいではなく、ご自分が不安なので、谷の上に住処を掘ったようでございます」と八狐は答えました。
家老はしばらく黙って歩きました。それから、「誰かが族長様に対して手を出したとすれば、お姫様はどうすさると思いますか。弟の族長様を助けるのですか、住処に残ったまま結果が出るまで待つですか」と聞きました。
「そうですね」八狐は少し考えました。「そんなの場合には、族長様が倒される可能性が高くなければ、住処にお残りになるでしょう。族長様が倒されることになれば、どうなるのかと私でも思っております」
家老は頷きました。「それ以外、狐子さんは、一人で部屋から出かけるな、と言いました。自分かお父様か八狐どのがいなかったら、その中に残れ、と言いました。八狐どのの意見は?」
「もちろん賛成です。族長を倒せない奴は、代わりに嫌いな人間に悪戯するかもしれません」と八狐が答えてから、二人は姫の家へ向かって歩き続けました。