ゆきたちが山に近づくと、鬼や天狗などが村を襲撃している、という妙な噂を耳にしました。家来の長は若殿に言いました、「殿、危険でございます。城にお戻りになる方が良いかと存じます。このままお進みになるのであれば、女の方々を城にお帰しするべきかと存じます」
若殿は、「私はもう城に戻るようにとゆきに命じたが、彼女はそれを断固として拒否した。それに、狐子は…」
「鬼なんて怖くないわ」と言う声が聞こえました。狐子は若殿の近くにいました。「鬼なんて、力だけで、頭は空っぽですもの」
「鬼が父上の城を襲撃した時、狐子のお父さんがあそこにいなかったら、私は家来どもと共に何もできなかったに違いない…とにかく、ゆきを説得して城に戻してくれないか」と若殿は尋ねました。
「もう無駄です。命令される前は、城へ戻ろうと思っていたのに、命令されてからは、逆に続けようと決意してしまったようです。あの子は気骨があるよ。頑張れ!…かえって、鬼などがいた方が、このつまらない旅は賑やかになるでしょう」と、狐子はゆきの方へ向かって歩きました。
若殿は家来に、「全員が鬼や天狗などを見つけ出せるように注意しておいて欲しい。驚いては駄目だ」と命じてから、「つまらない旅の方がいい」と呟きました。