第二十三章
若殿の出陣
間もなく戦の準備が整いました。殿様と若殿は兵と一緒に出かけるところでした。「ゆき、行ってくる。私が留守の間、家老から国の治め方を学びなさい」と若殿は言いました。
「お気をつけて、どうぞご無事で」とゆきは答えました。それからゆきは若殿の出陣を見えなくなるまでじっと見送りました。
若殿が帰ってくるのを待つ間、ゆきは毎日一生懸命国の治め方を勉強しました。時々殿様や若殿からの手紙を受け取りました。ゆきはそれを熱心に読みました。
家老は「ゆきさまには、国を治める資質がおありです。読み書きは、お祖母様から学ばれたのでしょうか」と尋ねました。
「そうです。書物を読むのが大好きです。でも、私の国には読み物があまりなかったので、おばあさまの『源氏物語』以外、あまり読んだことがありません」とゆきは答えました。
「さようでございますか。では源氏物語は、全てお読みになりましたか」と家老は聞きました。
「おばあさまの本は数章が抜けておりましたので、全てを読んではおりません」とゆきは答えました。
「さようでございますか。ここには『源氏物語』の全巻と、他にもいろいろな本がございます。もしお暇があれば、どうぞお読みください」と家老は言いました。