第二十七章
ゆきの演説
ゆきは駕籠を降り、その側にある岩に登りました。すると、大きな喝采が沸き起こりました。ゆきは村人の興奮を制すように両手を挙げると、そのまま静かになるのを待ちました。だんだん人込みは静かになりました。
はっきりと大きな声で、ゆきはこのように言いました。
「私は前の大名の娘、ゆきです。父上が攻め滅ぼされた時、祖母が私を連れて小さな村に落ち延び、私はそこで人知れず育てられました」
「数ヶ月前、祖母は亡くなり、その後、私は隣の国の、都に行きました。幸運と機会に恵まれて、数週間前その町の若殿さまに嫁ぎました」
「その結婚式の日に、この国から来た鬼が町を襲撃し、私を連れ去ろうとしました。でも、狐どののおかげで若殿さまはその鬼の首を切り落とすことができたのです」と言うと、もう一度喝采が沸き起こりました。
「その結婚式に参加していた殿様たちは、この国の大名を倒すことを決心しました。その大名は任を退くことを拒んだので、殿様たちはその大名を滅ぼすために戦を始めました。落城した時、その大名は死にました」とゆきが言うと、またしても喝采が沸き起こりました。
「私が前の大名の娘であり、最後の子孫でもあるので、殿様たちは私に、若殿さまと共に、この国を統治するようおっしゃいました。そういう訳でここに来ました。城へ行く途中なのです」
「父上の時代にはこの国は豊かだったと聞きましたが、父上が戦に敗れ、あの大名の時代になると、このように貧しくなりました。私の夢はこの国をもう一度豊かにすることです。けれども、この夢を叶えるには、皆さんの助けが必要なんです」とゆきが言うと、割れんばかりの大喝采が沸き起こりました。ゆきは岩から降り、駕籠に再び乗ってから、かごの簾を上げたまま、城の方へ進みました。あちらこちらで、ゆきは駕籠を止めさせて、その演説を繰り返しました。