第三十七章
狐子との会話
狐子がゆきの部屋に入ると、ゆきは暗い隅で座ったまま、本を抱いて泣いていました。狐子は、「ゆきちゃん、さあ、涙を拭いて。大切な本が濡れちゃうよ」と言いました。
ゆきは、「どうして殿は私のことを怒っているの?」と尋ねました。
狐子は、「怒ってるわけじゃないわよ。ゆきちゃんの帰りが遅くなったから、殿は心配だったのよ。だから、ついつい本当のお気持ちよりきついお言葉になっちゃったのね。ゆきちゃんがいなくなった後、殿はがっくり肩を落としていらしたわ」と答えました。
ゆきは、「本当?」と、涙を払いました。
狐子は、「うそなんかじゃないわよ。書くつもりの手紙があったじゃない。ほら、蝋燭に火を点けて、その手紙を書いてみましょうよ」と言いました。
それからゆきは狐子と話し合いながら、殿様と女将へ、二通の手紙を書きました。書き終わった後で、狐子は自分の部屋に戻りました。ゆきは蝋燭の火を吹き消してから寝ました。